2005年01月26日

体の内なる声

皆さんはなんとなく調子が悪いときどうしていらっしゃるでしょうか。体調不良を同僚や家族に訴えながらもそのままにして仕事を続けていますか?

良く耳をすませてみましょう。体が何か言っています。「昨日は飲みすぎたなあ」「肩がこっているので肩の筋肉を伸ばして欲しい」「右膝が傷みかかっているので無理しないで」
こうした体からの声にならない訴えをいち早く意識することで病気やけがの予防ができます。すぐれた運動選手はトレーニング中の“雰囲気”でケガをしそうな時というのは判るそうです。その雰囲気に気がついていち早く「良くない雰囲気だぞ!気をつけろ!」と注意を促すとケガが予防でき、うっかり見過ごすと確実にトラブルが起きるそうです。
また、横綱など一流の格闘技家も同様のことが言えます。調子が悪い時には悪いなりの相撲をとることで勝ち続けるのが横綱ということです。無理をしないで成果をあげる、その方法を自分なりに編み出せなくては第一任者の地位は保てないということでしょうか。

ご自分の内なる声によく耳を澄ませてください。調子が悪いと思うときは実は気圧や自律神経と関係していることがあります、航海中に船長が「今日はしけるぞ」という話を聞きます。船長の古傷はおそらく関節痛と思いますが、関節は複雑、デリケートな構造を持っていて気圧の変化を受けやすく、天気が悪くなる前に気圧の変化を関節が自覚するのでしょう。台風が到来すると外来に喘息発作の患者さんが多いことも良く知られています。
posted by Dr.イチロー at 15:26| Comment(0) | ■その他

2005年01月15日

ノロウイルス

感染性胃腸炎で、食中毒としての側面と人から人に感染するという側面をもつウィルスです。 
最近、集団感染の報告がされていますので、コラムにしてみました。

ノロウィルスは以前は小型球形ウィルスと呼ばれていたもので平成9年から食中毒の原因物質に加えられました。
・ウィルスを取り込んだ牡蠣などを不十分な加熱で食べることにより感染。
・刺身やサラダなど非加熱食品のウィルスに汚染された調理器具や水から感染。
・ノロウイルスに感染したヒトの便が手洗いが不十分なまま調理による食品への感染。
・ノロウイルスに感染したヒトのおう吐物から、ウイルスが乾燥して舞い上がり、直接ヒトの口から取り込まれ感染。
といった経路考えられます。

食品内で増殖せず人の腸内で増殖するため鮮度には関係なく、少量でも感染します。発症率が高く、食品を介してだけでなく人から人へも感染します。共通の食べ物がないのに集団発生することがあります。

主な症状は風邪に似た症状が特徴です。
1.1〜2日前に2枚貝(カキ、アサリ、ハマグリ、シジミ、ムール貝)を生で食べた
2.吐き気や嘔吐、腹痛、下痢(水様便)が1〜3日続いている
3.発熱(38度以下)が1〜3日続いている
4.家族、仕事の同僚などに過去2週間以内に吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱症状があった人がいる
といったことが目安になります。
 
予防方法は出来たら二枚貝類は十分に加熱すること、生食の場合は「生食用」を賞味期限内に食べること。
手洗いや調理器具の洗浄に気をつけることなどが挙げられます。

大量に調理・配膳する時は使い捨て手袋を使用しましょう。
他に、カキなどを調理の前後は十分な手の洗浄、生で食べるサラダや魚介類との調理器具は区別する、台所布巾は洗浄後、熱湯や塩素系漂白剤で消毒し、十分に乾燥させるといった方法があります。

感染しても通常は発症から1〜3日程度で症状は治まります。
下痢により脱水症状が見られる場合は入院や点滴の処置が必要になるでしょう。
免疫力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。
下痢や発熱時には十分な水分摂取をしてください。
吐いたものや便には直接触れないこと、吐いたものや便で汚れた衣類は分けて洗濯し、煮沸消毒や塩素系漂白剤で消毒、天日干し、温熱乾燥が望ましいです。
また、下痢している人の入浴はシャワーのみにするか最後に入浴するのが良いでしょう。
症状が治まっても、ウィルスは2週間ほど便と一緒に排泄されますので、まわりの人にうつさないよう注意が必要です。
posted by Dr.イチロー at 14:48| Comment(0) | ■この病気ご存知ですか?

2005年01月14日

花粉症

花粉症についてのお話です。花粉症は年々患者さんが増加し現在人口の13−16%といわれています。花粉を吸いこむと鼻粘膜や結膜にいる肥満細胞表面のIgEと反応して、肥満細
胞がヒスタミンを放出することで目のかゆみ、鼻水などの症状が急激に出現します。咳、咽頭痛はなく微熱がでることがあります。以上の症状が2週間以上あれば花粉症が疑われ
ます。医師による治療は経口抗アレルギー剤の服用と鼻用ステロイド剤噴霧を中心とした治療で患者さんの満足度は高いと報告されています。また、漢方薬では麻黄附子細辛湯、小青竜湯、柴胡桂枝乾姜湯などが推奨されており、麻黄附子細辛湯は即効性があるので試してみても良いかもしれません。

これらは対症療法ですが、体内環境を整える方法でも症状の軽減が期待できますのでそれに役立つと思われる食品をご紹介します。ヒスタミン分解作用のあるビタミンCを多く含む食品(キャベツ、シシトウ、シソ、ピーマン、ゴーヤ、キウイ、レモンなど)や、ヒスタミン遊離抑制作用があるとされる甜茶(てんちゃ)、ポリフェノール(赤ワイン、ココア、シソなど)、グミ科の植物であるサージ(沙棘)やイラクサ科のハーブ「ネトル」、玉ねぎの「ケルセチン」、ウコンに含
uクルクミン」などがあります。また腸内環境を整えることでIgE産生を低下させる食物繊維(蕎麦、玄米、大豆、もやし、おから、さつまいも、枝豆、ほうれん草、キャベツ)やヨーグルト、粘膜を強化するベータカロチン(かぼちゃ、小松菜、ニラ、山芋、にんじん、クレソン、春菊)、亜鉛(カニ、カキ、ホタテ、サザエ、ごま)、EPA(マグロ、イワシ、サンマ)、アレルギー酵素作用を阻害するルテオリン(カモミール、味噌)なども注目されています。こうした食品を取り入れながら、脂肪、糖分の摂取は控えめにするなど食生活環境の改善でも回復が可能と思われます。また排気ガスと生体ストレスとの関連も知られていますので生活環境を整えることも大切でしょう。特に生体ストレスは寝不足、過度の緊張、喫煙、お酒の飲みすぎなどが関連していると思われます。

私自身は東京に来て3年目に発症しましたが、ここ数年は克服しつつあります。最初は症状がでる季節に甜茶を飲んでいましたが、最近3年ほどはビタミンA、B,C,Eと亜鉛を含む
サプリメントおよびプロテインの飲用でほとんど軽快しています。もちろん上に挙げた食物を摂る事や過度のストレスにも十分注意しています。 
posted by Dr.イチロー at 14:49| Comment(0) | ■この病気ご存知ですか?

2005年01月11日

普通の生活

普通の生活ってなんでしょうか?女性は、総体に忙しい中でも、健康番組に注目したり、美容にこれが良いと勧める雑誌をまめに見たり、より良い物を求める心を持ち、実践しています。女性は子孫を残す性で平均寿命も男性より長く、種の永続のため本能的に情報を交換して健康に良いことに関心があるのかも知れません。
それに対して男性はそのプライドのせいもあると思いますが、こまこまとした健康情報にすぐ反応する方は少ないと思います。
現代は普通の生活をしていると病気になる、と考えたほうが良いようです。なぜなら現代食はビタミン不足でカロリー・脂肪過剰だからです。厚生労働省が出している食品栄養表をみてみますと野菜の栄養価は30年前に比べ明らかに低下しています。
その一方でカロリー摂取量や脂肪摂取量は確実に増えています。ビタミンは代謝に重要な働きをしていますから、不足気味になれば体の免疫力(抵抗力)が低下し風邪を引きやすくなったり、がんになり易くなったりします。脂肪摂取量が増えると大腸がんに罹りやすくなることが知られていますし、肥満になれば糖尿病、高血圧など生活習慣病になる可能性が増えるのです。
俳優の石原裕次郎さんは大動脈瘤の手術を受け、ある病院のベランダから手を振っているのがテレビなどで紹介されていましたが、大動脈瘤は生活習慣病である動脈硬化症から発生する病気の一つです。
動脈硬化により動脈は一見「硬く」なるのですが、実は弾力性を失って血管の壁は弱くなり血圧の力でだんだんこぶのように膨らんでしまいます。破裂する前に治療すれば大丈夫なのですが破裂すると大出血を起し、致死率は高く注意が必要な病気です。
現代はそうした食生活の変化に加えストレス社会です。昔は公衆の面前では「お天道様に顔向けできない」という言い方をして戒められたものですが今は電車の中で人に注意すればナイフで刺されると言う時代です。
また、バブル崩壊からやっと景気が回復しつつあると言われてはいるものの、企業の利益の回復はリストラによる人件費削減によると言う分析もあり、以前と同じ量の仕事を現在は半分以下の人数でこなしている、など負担のかかる生活があることはまちがいありません。
さらに特に大都市圏ではきれいな水や空気は望めないこと、やや郊外にでてもダイオキシンや環境ホルモンなど環境の悪化があります。環境ホルモンは内分泌かく乱物質と呼ばれるように女性ホルモンを中心とした体内環境を乱すものです。あるいは出生率の低下とも関連しているのかもしれません。
posted by Dr.イチロー at 15:26| Comment(0) | ■その他